戦乙女解体

我とともに生きるは冷巌なる勇者、出でよ!

…と言う台詞の懐かしい、ヴァルキリープロファイルと言うPSのゲームがありまして。
テイルズ(ファンタジア)に始まり、スターオーシャン(2)で名を馳せたトライア様の珠玉の名作です。
ドットで描かれたヴァルキリー(レナス)が美麗な2D背景のダンジョンを飛び回る謎解きアクション。○×△□ボタンにそれぞれ対応したキャラクターを動かす格闘ゲームぽいバトル。仲間となるエインフェリア達の死までの物語と彼らの育成と神界転送。ストーリーを彩るのは表情差分のちゃんとある美麗な立ち絵。ダンジョン毎に違う良質なBGMにテンションの上がる戦闘BGM。
ゲーム中のどの部分を切っても全部楽しい(個人差アリ)と言うのはほんと凄いと思います。限られた時間の中でのエインフェリア育成が作業だとか、仲間になったら全員バックストーリーが特に意味の無い空気とか言われたりもしますが、肝心のバトル要素が凄く楽しく、キャラそれぞれ固有のモーションや必殺技やボイスが充実していて飽きが来づらいんですよ。
トライア様ゲーなだけあって、アーティファクトや原子配列変換を「知って」使う事でゲームが一気に楽になったり難易度崩壊すると言うお約束も勿論あって、使うも使わぬも自由。

シナリオ面は個々のエインフェリアのストーリーに関しては、死が前提だからか暗いっちゃあ暗いです。救いが無くて惨くて無念で…と言う想いも死後の神の尖兵となった人間には最早無関係的なサッパリ感がゲーム本編(レナスのお仕事)と基本的に乖離していたので、二次創作面が結構拡がっていた気がします。
残念ながら一般同人誌では余り発見出来なかったんですが(衣装が面倒臭いとかきっとそう言う憂き目に遭ってた気がする)、エニックス公式の四コマ劇場などは冊数も多かったし盛り上がっていたと思います。家に多分まだ全部残ってると思う…(´ω`;)
自分でもなんか絵とか凄い描いてた記憶があります。レナスFの姿を見て、裾の金属飾りが目に入った途端、なんか無心に描いて塗ってたのを思い出しました。

メインシナリオの方はヴァルキリーの名前通りに「北欧神話」のイメージで行くと腹筋に大ダメージを受けること確実な、「北欧神話の名称やモチーフを用いたオリジナルファンタジー」。断じて北欧神話アレンジではなくただのオリジナルです。
前述通りエインフェリア個別の物語は(最期までカッチリ語られる事が無いのも含めて)良いんですが、残念ながらメインストーリーに関してはそこらの駄目なファンタジーラノベ以下。
OPのウェディングレナスやシルメリアと言う意味深要素は投げるだけ投げてお終い。
尤も、トライア様にストーリーの期待はしちゃいけない、と言うのが暗黙の了解なのでファンは既に耐性がついていた訳ですが…。

何度もプレイしていい加減パターン化入っていても「ゲームをしている事」や「キャラクターが動いている事」自体が楽しかったしハマっていたので苦痛が無くて、毎日の様に遊んでいたのを思い出します。それでもアリアンロッドの迷宮とローム丘陵のカラクリ屋敷だけはマップ憶えられなかったけど!…憶える気もなかったしね…。
序盤ピリオド消費1の奇岩洞窟に通い詰め、中後半レザードの塔とアークダインの遺跡でピリオドを使い果たすまで廻るのは最早デフォルト。
今見るとピリオド制とか昨今のソシャゲのスタミナ制に似てますね。そう考えると当時からモッタイナイ病に罹っていた様です…。
咎剣ひたすら集めたりレベルアップで最大ステ目指したり…、学生で暇だったのもあるけど兎に角やり込んでやり込んで何度もプレイする大好きなゲームでした。思い出補正を掛けても除いても、良作だったと断言出来ます。

2が後々PS2で発売されましたが…、こちらはダンジョンやバトルはそれなりだったものの、エインフェリア空気化に加えて、VPで残した要素だったシルメリアを用いたものの、綺麗に片付けたVPのメインシナリオをごっちゃ混ぜにして味噌まみれにして投げつけ返してくれた酷い思い出しかないのでお察し下さい。
まあシナリオ台無しにしたのはラストのラストだったので、それまではしっかりがっちりプレイしてたんですけどね。

*

……長くなりましたが、ともあれそんなVPがソシャゲ化と言う事で正直不安しかなかったんですが…、
喜べ、案の定的中だ。
メインイラストや旧作同様の桜庭さんの音楽で期待は否応無しに膨らんでいたものの、結論から言えば凡百の原作付きソシャゲと同じ途を辿ってる感。
一応先にお断りさんしておきますと、配信数日の序盤しかプレイしていないので、今後世間的に評価が変わったり、わたしの未だ知らぬ要素や気付かぬ要素で凄く良いとされる部分はあるやも知れませんし、楽しいと言う方もいらっしゃるでしょう。飽く迄数日プレイの個人感として受け取って下さい。
……が、旧作好きでパッとプレイした感想や感覚としては、そう言わざるを得ないと思います。とだけ。

そんな訳でわたしの感じたアナトミア(以下VA)の駄目な所。

・事前登録
事前登録特典としてレナスF(VP無印の弓レナス)をプレゼントと謳いつつ、実際配信開始から一ヶ月は事前登録の有無など関係の無い全員サービスキャラだった。
また、事前登録をしたからと言って、先行配信の連絡は疎か、サービス正式開始の連絡をいち早くくれると言う事も無く、結局はただのアカウント取り。
今の所アプリ本体とアカウントを紐付けして何かをしている様子は一切無いので、実質アカウント取得詐欺も良い所。

・イラスト
メインイメージイラストとして出されていたあの絵柄で来るかと思いきや、普通の絵師さん。
旧作が凄まじく重厚な絵柄だっただけに(比べるのもなんだけど)、失礼ながら見劣りして仕舞うのは否めない。

・シナリオ
メインは全然解らない状況ですが(少なくともVP以前の話らしいけど)、キャラクターに重みが無い。オーディンに(若いからか)威厳ゼロ、レナスにやる気ゼロ。あの凛としたレナスは何処にもいないです…。
エインフェリアのストーリーは二人しか見れてませんが、台詞回しや展開が拙いラノベを読んでいるかのよう。
無印は素っ気ない所はあれど想像の余地が重たくて、2は自主的に探らないと空気。
で、VAは長い事かけてだらだら読ませる癖に軽くて陳腐。素材は悪くないのに調理方法を間違って調理自体に時間を掛けすぎて駄目にしている感。

・ダンジョン
AP(スタミナ)を消費してダンジョンを一部屋づつ進む。戦闘や宝箱取得にもAPを消費する。
旧作の様にエネミーにアタックする事で先制可能とか言う事はなく、理不尽にエネミーターンから始まったりして為す術なくダメージを食らう事に苛立つ。
戦闘で減ったHPはAP4消費で休むことで回復可能だが全快はしない。どんなけ消費させる気満々なの。
AP1消費で部屋毎に探索を行う事で宝箱やエネミーが登場する。隠された道なども探索で出現させられる様だが、そんなのは状況限定なので実質何の為なの要素。
AP1消費で晶石を使う事でエネミーを退ける事も可能。正直何の為なの要素その2。
総じて言えば、パズルアクションを駆使した旧作とは比べものにならず、戦闘の間のエッセンスにもなっていない、ただAPの許す限り、自分の気が済むまで探索ボタンを押すだけの作業パート。
比べても仕方ないけど。

・戦闘
無印の戦闘を踏襲したと開発語る通りで、画面下部のキャラをタップする事で旧作の様にキャラ個別に攻撃を仕掛ける事が出来る。攻撃するとゲージが貯まり、必殺技が使用可能。
まあぶっちゃけ完璧に無印の劣化。後述するがガチャが武器なので、高レアリティの武器を手に入れて仕舞うと序盤の雑魚エネミーに対してほぼ瞬殺状態且つ、序盤はエインフェリアが四人揃っていない為にただのポチポチゲーにしかなっていない。次から次にコンボを繋げてゲージが貯まるなり必殺技をブチかます爽快感は(少なくとも序盤では)無い。
初期エインフェリアが弓で、同じ弓のレナスFと共存が微妙と言うのも旧作ファン的には不満だろう所。
攻撃時も、キャラをタップした時の画面レスポンスの様なものが稀薄で、攻撃しているんだ感が余りしない。尤もそれはスマホゲーではよくある話。アナログゲームパッドを用いるゲームの、操作をしているぞと言う「感触」を再現出来ているものはなかなか無い。
ともあれそれが現状のポチポチゲー状態と併せて、肝心の戦闘が面白く爽快感を感じられない。
エネミーの耐久値が増えて、PT四人構成になればまた少し印象も変わる…のかも知れないけどちょっと自信が無い。
少なくとも、「戦闘が面白い!」と訴えてユーザーを食いつかせるのが重要な序盤でコレは完全に失敗していると思う。

・エインフェリア
一人集めるのにダンジョンを五つ+付随してシナリオを五話ぐらい読まされる。各エインフェリアの扱いが軽くなくなったのは良いが、サクサクとプレイしたいだろうスマホゲーでこれはダレるだけ。ダンジョンを最短クリアしても結構かかる。
前述通りの「戦闘が面白い!」を売りにするのなら、と言う面でも序盤からいきなりユーザーのやる気を削ぐ気満々。
せめて旧作のアリューゼ&ジェラードの様に一遍に加えるなりなんなりすれば良かったのに。早い内から四人戦闘の楽しさを訴えなくてどうするのかと。
長々チュートリアル>話をある程度進めて要素解禁、と言う、ライトユーザーが離れる二台要素を合体させて仕舞っているこの感。

・ガチャ
エインフェリアガチャと来るかと思いきや、武器ガチャでしたとさ。
エインフェリア一人一人を軽くしないその試み自体は評価したいけど、キャラゲー系を求める人には購買欲が生じようがないのも事実なんですがどうなんでしょう。

・音楽
最高。

・総じて
なまじ旧作に乗っかろうとして失敗している感。
レナスFプレゼント、無印踏襲の戦闘、無印を多少思わせるエインフェリア、無印アレンジBGM…。
なまじそんな事をしているからこそ比べて仕舞うし落胆して仕舞う訳で。

レナスが立体になってスマホ上で動いているだけでご褒美でした。
個人的に無印でも弓使ってたので弓仕様だったのにも感動でした。
触れた感触では所詮そこ止まりでした。
VPを愛して已まないファンとしては、ソシャゲにするぐらいならば無印をPSVや3DSなどの携帯機などにその侭移植してくれた方が余程良かったです。
若しくはVPシリーズの全くオリジナルタイトルとして作った方が余程。旧作に乗っかる様な真似などしないで挑んでくれた方がまだマシでした。

*

然しですね、VAがあって久々にVPの事を色々思い出したり攻略本引っ張り出したりして来て思ったんですが…、

………アレ、VPのこの感覚ってちょっとロードラに似てね?

キャラ一人一人の非業ストーリー、故人が戦う、語られない部分の想像の余地がある、一定化されたデフォルメフォーマットのキャラ、その一人が横向き画面を走る、四人PTの戦闘画面、スタミナ制、育てる楽しみ……以下略。
まあ元よりロードラを初めて見た時に、「こう言う画好きだ」って戦闘画面やステータス画面を見て思ったのでなんとなく頭にそんな感覚はありましたが…。

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